ビタミンD3の不足はクル病の原因だから、ビタミンD3はサプリメントで補おう!
本記事では、ビタミンD3の過剰摂取(必要量より多くの栄養を与えてしまうこと)におけるリスクを解説します。
えっ!?
本ブログの読者や、カナヘビ飼育が長い方であれば、
- カナヘビを飼育していて気を付けなければならない病気はクル病
- クル病は、カルシウム不足が原因で発症する
- コオロギなどの昆虫だけでは、カルシウム不足になりがちなので、サプリメントを添加する必要がある
- カルシウムの吸収を促進するためには、ビタミンD3が必要
- ビタミンD3は紫外線を浴びることで体内合成できる
といった知識は持ち合わせていると思います。
しかし、
・クル病予防のため、サプリメントでもビタミンD3を与えよう!
・紫外線ライトは高額なので、安価なビタミンD3サプリメントでクル病予防をしよう!
といった考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
結論、ビタミンD3の過剰摂取は、最悪の場合死を招きます。
さらに、ビタミンD3の適正量は明らかになっていません。
つまり、カナヘビへビタミンD3をサプリメントで添加すること自体、リスクが高い行為ということです。
上記をみて「ハッ」とした方は、本記事を最後までよんで、カナヘビの健康に関する知識を今以上につけてください!
カナパパってこんな人
それでは、本題に入っていきましょう!
カナヘビにビタミンD3が必要な理由
冒頭ではビタミンD3の過剰摂取のリスクを述べました。
しかし、カナヘビを飼育する上で、ビタミンD3は非常に重要な栄養素の1つには違いありません。
ビタミンD3は、エサで補給した栄養素「カルシウム」の吸収を促進する働きがあります。爬虫類も人間同様、カルシウムを吸収することで骨や歯を形成し、成長していきます。カルシウムが不足すると、成長を妨げるだけではなく、死に至ることもある難病「クル病」の原因にもなってしまいます。
私たち爬虫類の成長や病気予防には、カルシウムだけではなく、ビタミンD3も重要な栄養なんですね!
ビタミンD3の摂取方法
ビタミンD3が非常に重要な栄養であることは理解できましたね。
はい!
でも、ビタミンD3ってどうやって取ればよいのですか?
ビタミンD3は、別名「サンシャインビタミン」とも呼ばれ、太陽光に含まれる紫外線(UV-B)を浴びることで、体内で作り出すことができるのです。しかし、カナヘビを飼育する上では室内飼育が基本・・・。
そこで、室内飼育でビタミンD3を摂取する方法を3つ紹介します。
1つずつ解説しましょう。
庭で日光浴をさせる
1つ目の方法は、庭やベランダで日光浴させる方法です。しかし、私は下記のデメリットから、庭での日光浴をあまりオススメしていません。
- 長時間の日光浴は、熱射病の原因となる(風通しの悪いプラケースでは蒸し風呂状態に・・・)
- 天敵に襲われぬよう、常に監視している必要がある(ほったらかしは絶対ダメ!)
- 重いカナヘビケージを毎日運び入れるのは非常に面倒
私はギックリ腰になりやすい体質で・・・
かつ熱射病のリスクが怖かったので、カナヘビを飼い始めて1か月程で、庭での日光浴を断念しました。
ビタミンD3入りのサプリメントを添加する
続いて紹介するのは、ビタミンD3が配合されているサプリメントを添加する方法です。
カナヘビを飼育する際、主食としてコオロギを採用している飼育者さんも多いのではないでしょうか?
実は、コオロギをはじめとする昆虫はカルシウムが少なく、栄養バランスが偏りがちです。そのため、カルシウムパウダーというサプリメントの添加が推奨されています。爬虫類向けのサプリメントの中には、カルシウムと合わせてビタミンD3も含まれている商品も販売されているため、これらを活用することで、カナヘビに効率的にビタミンD3を与えることができるのです。
サプリメントでビタミンD3を補うことができれば安心ですね!
しかし、ビタミンD3サプリメントの添加も、あまりオススメできないんだ!
えっ!?
※本記事2回目
2022年現在、カナヘビの学術論文はほとんど書かれておらず、カナヘビに必要な栄養素は明確になっていません。つまり、ビタミンD3は重要だけど、適正量は一切わからないということです。
適正量が分からない栄養素を、飼い主の裁量で与えるということは、リスク以外のなにものでもありません!!
仮に、サプリメントでビタミンD3入りを補給するにしても、1-2週間に1度くらいのペース、かつ少量を添加しつつ、経過は入念に観察しましょう。決して、毎回の給餌で添加することはしないでくださいね。
紫外線ライトを照射する
庭での日光浴も、サプリメントもオススメじゃなければ、ビタミンD3をバランスよく採れる方法はあるんですか?
私が一番オススメする方法は、紫外線ライトの照射です。
カナヘビケージに紫外線ライトを設置することで、疑似的な太陽を作り出し、カナヘビに日光浴させることができるようになります。熱射病の心配も、監視の必要もありません。
しかし、注意点もあります。
紫外線ライトはたくさんの種類がありますが、UV-B紫外線を照射するライトを選ばねばなりません。
私は数ある商品の中から、「マイクロUV-LED」という商品をオススメしています。
実際のレビュー記事も書いていますので、ご興味のある方は合わせてご覧ください。
ビタミンD3の過剰摂取に注意
なぜ過剰摂取が良くないのか?
もし、ビタミンD3を採りすぎてしまったら、どうなっちゃうんですか?
ビタミンD3の過剰摂取は、カルシウムを体内に沈着・石灰化させてしまいます。
はじめは血管内に、やがては内臓機能にカルシウムを沈着させてしまい、各臓器の機能不全を引き起こします。
体の小さなカナヘビにとって、カルシウムが臓器に沈着した状態は致命傷になりかねません。
ビタミンD3の過剰摂取が招く症状
ビタミンD3を採りすぎて起こる症状について教えてください。
クル病予防のためのビタミンD3であったはずが、クル病と同様の症状がでるケースが多いとされています。ビタミンD3を過剰摂取した個体は、下記の症状が出る可能性があります。
- 食欲がおちる
- 手足の麻痺
- 尿カルシウム沈着による尿細管の壊死(致命的な症状)
また、定期的にビタミンD3サプリメントを添加して与え続けているカナヘビに、傾斜(常に首を傾けている)の症状がみられたという声も聞いています。傾斜の原因=ビタミンD3の過剰摂取と断定できませんが、症状の一例として可能性はありそうです。
まとめ 飼育下でのビタミンD3は紫外線ライトが最適解
本記事のまとめです。
- ビタミンD3は、エサで補給した栄養素「カルシウム」の吸収を促進する働きがあり、クル病予防に重要な栄養素
- ビタミンD3の補給には下記の方法がある
- 庭で日光浴をさせる
- ビタミンD3入りのサプリメントを添加する
- 紫外線ライトを照射する(筆者推奨)
- ビタミンD3の過剰摂取はリスクがあり、最悪の場合、死に至る
ビタミンD3を効率的に補給する上で、確かにサプリメントは便利です。
しかし、適正量が明確になっておらず、過剰摂取のリスクがある栄養を無知なまま与え続けては、豊かなカナヘビライフ*をおくることができません。
*:カナヘビと飼育者さんが笑顔で日常を送ることの造語
カナヘビの室内飼育におけるクル病予防には、サプリメントに頼らず、バランスの良いエサ+紫外線ライトの照射が一番です。
バランスの良いエサやりの参考に、本ブログで紹介しているエサに関する記事を下記にまとめました。あわせてご覧ください!
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参考文献および参考著書
- 石橋徹 (いのかしら公園動物病院)2007年『爬虫類の栄養学』https://www.jstage.jst.go.jp/article/iuws/13/0/13_13/_pdf/-char/ja
- けい動物医療センター『カメの代謝性骨疾患(メタボリック・ボーン・ディジーズ)』https://kei-animal.com/column/column78/
- イグアナの疾病(ビタミンD関連障害)
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