カナヘビは、ダンゴムシは食べないの?
本記事では、このような疑問にお答えします。
庭の地面や花壇を掘り返したりするとよく出てくる、昔から馴染みのある「ダンゴムシ」。
捕まえるが簡単なダンゴムシを、カナヘビに与えてみよう!と考えたことがある方は、非常に多いことでしょう。カナヘビはダンゴムシを食べないの?という質問をよく聞きます。
結論、カナヘビはダンゴムシはほぼ食べません。
一方、ダンゴムシによく似た「ワラジムシ」は、食べてくれるカナヘビが多いです。ワラジムシは、通称『歩くカルシウム』とも呼ばれ、コオロギなどの生き餌に不足しがちな「カルシウム」を豊富に含む生き餌として、爬虫類飼育者の中では重宝されています。
本記事では、カナヘビにカルシウム豊富な生き餌「ワラジムシ」を食べてもらうための基礎知識をまとめています。
最後まで読めば、カナヘビが好んで食べてくれるワラジムシの種類を理解することができます。カナヘビの生き餌のバリエーションが増やせるだけでなく、カルシウム豊富なワラジムシの給餌により、健やかなカナヘビ飼育を行うことができるようになります。
カナパパってこんな人
それでは、早速本題に入っていきましょう!!
昆虫エサにはカルシウムのダスティングが必要
カナヘビの成長や健康維持には、動物性タンパク質やカルシウムが必要となります。
飼育下におけるカナヘビの主食に、コオロギやレッドローチといった昆虫を選んでいる方が多いでしょう。これらの昆虫には、カナヘビが必要とするカルシウムが充分に含まれていないため、ダスティング(↑↑写真のようにカルシウムパウダーを添加すること)が必要となります。
私も、カナヘビを飼い始めたばかりのころ、様々なネット記事から「生き餌を与える場合にはカルシウムパウダーのダスティングが必要」と知り、ピョンピョン飛び跳ねるコオロギにカルシウムパウダーを振りかけるのに相当苦労したものです。
本記事でオススメする「ワラジムシ」は、カルシウムが豊富に含まれており、エサにワラジムシを与えることは、カナへビの健康維持において非常に有効な方法です。
ワラジムシとは?
ワラジムシって、ダンゴムシに比べ、聞き馴染みがないですよね。そこで、簡単にワラジムシについて説明していきましょう。
- ワラジムシの見た目はダンゴムシとソックリ
- ワラジムシはエビやカニと同じ甲殻類に分類される
- ワラジムシは優秀な分解者
1つずつ、説明していきますね!
ワラジムシの見た目はダンゴムシにソックリ
ワラジムシは、爬虫類をはじめとするペットの飼育をしていないと馴染みがないかもしれませんね。
ワラジムシのビジュアルを見てみましょう。
見ての通り、履き物の「わらじ」に似ていることから、「ワラジムシ」という名前がついています。
「あれ?この生き物、ダンゴムシじゃないの?」と思った方もいるかもしれませんね。ワラジムシは、ダンゴムシと非常によく似た見た目をしています。
ワラジムシはエビやカニと同じ甲殻類に分類される
名前に「ムシ」とつきますが、実は、エビやカニと同じ甲殻類に分類されます。
コオロギやゴキブリなどの生き餌と比較すると、カルシウム含有量が多いのが特徴です。
ワラジムシは優秀な分解者
苦手意識のある方からすると、不快な見た目と感じるかもしれませんが、人間に対して直接的な害を与えることはありません。
無毒で危険性はなく、むしろ枯葉や昆虫の死骸等を食べて土に返す「分解者」としての役割を果たしてくれる「益虫」なのです。
ワラジムシとダンゴムシのちがい
見た目が非常によく似ている「ワラジムシ」と「ダンゴムシ」の違いを見ていきましょう。
一番わかりやすいのは、「動きが速いのがワラジムシ、丸くなって身を守るのはダンゴムシ」です。
これだけではわかりづらいですね。各種の特徴を紹介します。
天敵から丸くなって身を守るダンゴムシ
ダンゴムシの正しい名前はオカダンゴムシ。体は丸みを帯び、あたまとあの間は、7つの節に分かれています。敵に見つかった時の対処法としては、名前の通り丸まって天敵からの攻撃を防ぎます。
仲間に危険を知らせるワラジムシ
ワラジムシの正しい名前は、そのままワラジムシといいます。
ダンゴムシと非常によく似た見た目をしていますが、平べったく、お尻にツンと突き出た尻尾があるのが特徴です。
ワラジムシは天敵に襲われると、お尻から透明な液体を出します。この液体は、仲間に危険を知らせる警報フェロモンなんです。自分がやられている間に匂いの合図を出し、仲間に逃げるように伝えるのです。
カナヘビのエサにワラジムシを選ぶメリット
見た目は似ているワラジムシとダンゴムシですが、カナヘビの生き餌として向いているのは「ワラジムシ」一択です。理由はシンプルで、ダンゴムシはカナヘビの餌として甲殻が堅すぎるためです。
我が家で生まれ育っったカナヘビに、生まれて初めてみるはずのダンゴムシを与えた際に見向きもしてくれませんでした。本能から「ダンゴムシは堅いし食えん!!」とわかっている模様・・・。
一方、ワラジムシを与えてみたところ、
我が家で一番食が細いアオカナちゃんも、食べてくれています!!食いつきには申し分ないワラジムシですが、他の昆虫エサにない魅力がたくさんあります。
- カルシウム含有量が多い
- コオロギやレッドローチと比較し、動きが遅く扱いやすい
- 攻撃性がなく、カナヘビを襲ったりしない
- 臭いがなく、飼育に手間がかからないため、ストックが簡単
- テラリウムと相性抜群
順番に説明していきますね。
カルシウム含有量が多い
ワラジムシは、「歩くカルシウム」といわれるほど、カルシウム含有量が多い生き餌です。
生き餌しか食べないカナヘビを飼育しており、カルシウムパウダーのダスティングに苦労している飼育者さんには願ったりかなったりな生き餌ですね。
コオロギやレッドローチと比較し、動きが遅く扱いやすい
生き餌さとしてコオロギをあげようとしたら逃げ出し、見失ってしまい、数日後にコオロギの仏様を目撃した・・・という経験はありませんか?
経験のある方にしか伝わらないかもしれませんが、言葉にはできない気持ちになります・・・。
いっぽう、ワラジムシは、ペットショップなどで多く取り扱っているコオロギやレッドローチと比較すると、圧倒的に動きが遅いです。
仮に逃げられても捕獲に手間取ることはないので、慌てずに給餌に専念することができますよ。
攻撃性がなく、カナヘビを襲ったりしない
コオロギの種類や大きさによっては、カナヘビを襲ったりすることがあります。
ワラジムシの場合、自分より大きなカナヘビを襲ったりすることは一切ありませんので、仮にカナヘビが食べ残しても安心です。
臭いがなく、飼育に手間がかからないため、ストックが簡単
コオロギやゴキブリをストックしておくと、何とも言えない悪臭を発します。
なお、私の妻は、カナヘビ飼育には理解を示してくれていますが、コオロギやゴキブリをストックしている虫かごから発せられる悪臭には耐えられないようです。
いっぽう、ワラジムシは、自然界では分解者の役割を担っているため、悪臭を発することはありません。また、仲間割れなどもしないため、ストックしておいても個体数は減らず、管理も簡単!
テラリウムと相性抜群
我が家は、自然環境を再現した飼育空間「テラリウム」をケージで再現し、カナヘビを飼育しています。テラリウム環境では、カナヘビの糞をしても、床材に住み着くバクテリアが分解してくれる、いわゆるメンテナンスフリーな飼育環境です。
この分解を手助けしてくれるのが、ワラジムシの存在です。ワラジムシをカナヘビとは別の飼育ケースでストックしても構いませんが、ワラジムシの「攻撃性がない」、「分解者」といった特性から、我が家のテラリウム環境で同居させています。
カナヘビから生きながらえたワラジムシがひそかに繁殖し、テラリウム内でワラジムシベビーが誕生しています。自然そのものを飼育しているようで、これまた魅力的な環境ですよ!
ワラジムシのデメリット
カルシウム豊富なワラジムシですが、あらかじめデメリットもおさえておきましょう。
私が実際に、カナヘビにワラジムシを与えてみて感じたデメリットは、下記の2点です。
- 種類によって食べないことがある(カナヘビのエサにはホソワラジムシを!)
- 嗜好性は他の生き餌には劣る
重要なポイントです。具体的に紹介しますね!
種類によって食べないことがある(カナヘビのエサにはホソワラジムシを!)
生き餌としてメリット満載のワラジムシ。しかし、ワラジムシの種類によっては、ほとんどのカナヘビが食べてくれないのです。カナヘビが好んで食べてくれるワラジムシは、「ホソワラジムシ」という種類になります。
ワラジムシを見慣れない方には、ほとんど同じ見た目にみえますが、ホソワラジムシは下記のような見た目、動きに違いがあります。
- 少し赤みを帯びている
- 頭の触覚が少し長い
- 体が細長く、シャープな見た目
- 動きが少し素早い
初見の方は、ワラジムシとホソワラジムシを見比べてもほとんど区別がつかないことでしょう(笑)
正直、私もワラジムシとホソワラジムシをぱっと見で見分けることができません・・・。
見た目はほぼ同じこの2種ですが、我が家のカナヘビは、ホソワラジムシは喜んで食べるにも関わらず、ワラジムシはほとんど食べてくれません・・・。
上の写真は、ワラジムシを初めて与えたときに撮影したものです。食いついたものの、飲み込む前に吐き捨ててしまっていました。
カナヘビがワラジムシを食べてくれない理由は、おそらく甲殻の堅さでしょう。
カナヘビは柔らかい昆虫や蜘蛛を好んで捕食します。ダンゴムシと比較すると甲殻が柔らかいワラジムシですが、カナヘビには少し堅いのかもしれません。
ホソワラジムシは、ワラジムシの甲殻よりさらに柔らかいため、カナヘビが好んで食べてくれます。
ワラジムシを調達する際には、「ホソワラジムシ」と記載のあるものを確実に選ぶようにしてくださいね。
ホソワラジムシは甲殻も柔らかめで食べやすいよ♪
カナヘビが好んで食べるホソワラジムシ
嗜好性は他の生き餌には劣る
メリット満載なワラジムシですが、あえてデメリットをあげると嗜好性です。残念ながら、嗜好性はコオロギやレッドローチに軍配が上がります。
ワタシはワラジムシ大好きだけど、一緒に住んでいる子たちの中には食べない子も多いみたい・・・。
主食としてワラジムシのみを与え続けると、個体によっては飽きてしまい拒食につながるリスクもあります。他の生き餌や人工餌などと併用にながら与えるように心がけましょう。
まとめ カルシウム豊富な「ホソワラジムシ」は管理しやすく優秀な生き餌
本記事のまとめです。
- 一般的な昆虫餌にはカルシウムの添加が必要
- ・昆虫エサには、カナヘビが必要とするカルシウムが充分に含まれていないことが多い
・カナヘビが必要とするカルシウムを添加する必要がある - ワラジムシとダンゴムシの違い
- ・天敵から丸くなって身を守るのはダンゴムシ
・警報フェロモンで仲間に危険を知らせるのはワラジムシ
・カナヘビは、ワラジムシは食べるがダンゴムシは食べない - カナヘビのエサにワラジムシを選ぶメリット
- ・カルシウム含有量が多い
・動きが遅く扱いやすい
・攻撃性がなく、カナヘビを襲ったりしない
・飼育に手間がかからない - カナヘビのエサにはホソワラジムシを!
- ・カナヘビが好んで食べてくれるワラジムシは「ホソワラジムシ」
・嗜好性は他の生き餌には劣るため、あくまで副食として与えよう
できるだけバリエーション豊富なエサをあげるように心がけることで、カナヘビのクル病予防や拒食防止にもつながります。あなたが飼育するカナヘビの献立に、ホソワラジムシを加えてみてはいかがでしょうか。
カナヘビが好んで食べるホソワラジムシ
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参考文献および参考著書
- 布村 昇 2019年 『とやまと自然 45 年間ワラジムシを研究して』富山市科学博物館 https://www.tsm.toyama.toyama.jp/file_upload/100114/_main/100114_58.pdf
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