クル病ってなに?カナヘビがクル病になってしまったら、どうやって治せばよいの?
本記事では、このようなお悩みを解決します。
- 最近、カナヘビに元気がない
- クル病ってなに?具体的にどのような症状?
- クル病にならないために必要な予防方法は?
- クル病になってしまったらどうすればよいの?
カナヘビを飼育していて、もっとも発症しやすい病気は、”クル病”です。
クル病になると、骨の軟化により背骨や手足の変形し、最悪の場合死んでしまいます。
さらにクル病の厄介なところは、症状が進んでしまうと治療をしても治らない点です。
カナヘビを終生飼育するためには、クル病の原因を理解し、徹底した予防が必要です。
本記事では、飼育のカナヘビが発症しやすい病気の1つ「クル病」の原因と予防策について解説します。
本記事を最後まで読めば、カナヘビ飼育でよくみられる病気「クル病」の予防方法を学ぶことができます。
クル病に悩むことのない健やかなカナヘビライフを過ごしましょう!
- クル病とは? から読む
- クル病になってしまった生体にみられる症状 から読む
- クル病の原因と対策 から読む
- カナヘビがクル病になってしまったら から読む
カナパパってこんな人
それでは、本題にはいっていきましょう。
爬虫類がもっともかかりやすく恐ろしい病気 ”クル病”
クル病とは骨が軟化してしまう疾患
クル病は、別名で骨軟化症ともいい、骨石灰化が低下することで骨が軟化し、症状が進んでしまうと骨が変形してしまう疾患です。爬虫類以外の動物でも発症してしまう可能性があります。一度発症してしまうと完治は難しく、死に至ることもある恐ろしい病気です。
クル病になってしまった生体にみられる症状
クル病になってしまったカナヘビの症状は、病気の進行状況によっても異なります。
- 手足が痙攣している
- 頻繁に自切してしまう
- 口をポカーンとあけている
- 元気がない(食欲が落ちる)
- 背骨や手足が変形してしまう
- 手足が動かなくなって、引きずって歩く
- 最悪、死に至ることも・・・
クル病が末期まで進行してしまうと治療ができません。
カナヘビ飼育とクル病は、切っても切りはなせないため、あらかじめクル病の原因と対策を知っておく必要があります。
クル病の原因と対策
クル病が発症してしまう4つの原因を、対策とあわせて紹介します。
1つずつ、解説していきましょう!
クル病の原因① エサにカルシウムが不足している
市販で販売されている固定の生き餌になりがちです。
※コオロギのみ、レッドローチのみ、ミルワームのみ・・・など
飼育下で、様々な種類の生き餌を用意することが難しいですよね。
しかし、固定の生き餌のみでは、カナヘビに必要なルシウムを摂取することができません。
長期間にわたり固定の生き餌を与え続けてしまうと、クル病が発症してしまう可能性が高くなります。
カルシウム不足は、どうやって解消すればよいの?
カルシウム不足の対策を説明しましょう!!
カルシウム不足の対策① カルシウムパウダー
エサにサプリメント(カルシウムパウダー)を添加したり、カルシウムを多く含むエサを与えてあげましょう。
カナヘビ飼育の必需品 カルシウムパウダー
カルシウム不足の対策② 人工飼料
アメリカミズアブ幼虫を原料とした人工飼料を与えてあげることをオススメします。
嗜好性も高い人工餌
なお、人工餌を、いきなり食べてくれないカナヘビもいます。
別記事にて、人工餌のならせ方をまとめていますので、人工餌を与えてみたい方はご覧ください。
カルシウム不足の対策③ ワラジムシ
カルシウムを豊富に含む生餌「ワラジムシ」を与えるのもオススメです。ワラジムシについては、別記事で詳細をまとめていますので、合わせてお読みください。
クル病の原因② カルシウムの吸収ができていない
実は、カナヘビにカルシウム豊富なエサを与えていても、うまく吸収できないことがあるんです!
カルシウムの吸収ができない主な原因は、ビタミンD3の不足です。ビタミンD3は、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。ビタミンD3はエサから補給することが難しい栄養素ですが、紫外線に含まれるUV-Bを浴びることにより体内で合成することができます。
しかし、室内飼育により日光浴ができなくなってしまったカナヘビは、ビタミンD3の合成生成ができません。カルシウムを摂取しても吸収が進まない・・・。結果的にクル病になってしまうわけです。
カルシウムを吸収するためにはビタミンD3が必要なのはわかったよ。
飼育下ではどのように対策をしたらいいの?
対策をまとめましょう!
カルシウム吸収を促進する方法① 紫外線ライトの設置
必ず紫外線ライトは設備して、十分な量を照らしてあげましょう。市販で販売されている紫外線ライトの種類によっては、ビタミンD3の合成に必要なUV-Bを含んでいない種類もありますので注意が必要です。
カナヘビにオススメな紫外線(UV-B)ライトについては、別記事でまとめています。
カナヘビを飼うには、必ず紫外線ライトが必要です。
必須級の記事となっていますので、合わせてお読みください!!
- 爬虫類用のサプリメントでビタミンD3を添加する対策もありますが、紫外線による体内合成をオススメします。
- ビタミンD3を過剰摂取すると、体内でカルシウムが沈着したり、軟組織の石灰化などの弊害を招きます。
- ビタミンD3の適正な摂取量が明確になっていません。過剰摂取のリスクが多いビタミンD3はサプリメントで補給させず、日光浴や紫外線ライトによる対策が無難です。
クル病の原因③ カルシウムの消費量が多い
カルシウム消費量が多い個体
- 成熟したメス
- 成熟したメスは、繁殖期である4月~9月に2~3週間に1度のペースで産卵することがあります。
卵の殻はカルシウムで形成されていますので、成熟した産卵期のメスは通常以上にカルシウムを消費してしまうのです。 - 赤ちゃんカナヘビ
- 生まれたばかりのカナヘビや、成長期のカナヘビは、人間と同じように急速に成長しますので、カルシウムの消費が激しいです。
カルシウムを多く消費するメスカナヘビや赤ちゃんカナヘビへのカルシウム補給はどうすればよいの?
対策を説明しましょう!!
- 成熟したメスの場合、日々の観察で産卵を見逃さないようにしましょう。
- 産卵が確認できた場合には、通常以上にカルシウムパウダーを添加するようにしましょう。
- 赤ちゃんカナヘビの場合は、カルシウムパウダーの添加を頻繁に行ったり、カルシウムパウダーを溶かした水を水入れに用意するなどの工夫をしてみましょう。
産卵しているメスカナヘビがいないか、日々の観察を怠らないようにしましょう!
クル病の原因④ カルシウムの吸収をリンが阻害している
カルシウムは、リンという栄養素との摂取バランスによって、吸収のされかたもかわってきます。リンを多く含むエサを与えている場合、カルシウムパウダーを添加しても、カルシウムを十分に吸収できません。
爬虫類におけるカルシウムとリンの摂取比率は、『1〜2 : 1』が望ましいとされています。
しかし、ミルワームやコオロギなどの生き餌には、カルシウムよりリンが多いのです。特に、ミルワームはリンの含有量が多いため、主食として与え続けるとほぼ確実にクル病になってしまいます。
ミルワームはリンの含有量が多くカナヘビの主食にミルワームは不適切
いっぽう、ミルワームに見た目が似ているアメリカミズアブの幼虫は、カルシウムを多く含んでいます。クル病予防のため、定期的にカナヘビに与えていきましょう。
カルシウムパウダーの添加量や添加頻度
カルシウムパウダーを添加したほうがよいのは分かったよ。
頻度はどのくらい?カルシウムの過剰摂取は大丈夫なの?
カナヘビに必要な栄養素について、具体的な研究論文がなく明確になっていません。
参考までに、私がおこなっているクル病対策のための工夫を紹介します。
- カルシウム含有量の多いアメリカミズアブ幼虫が原料になっている「レオパブレンドフード」を主食として給餌
- レオパブレンドフードをふやかす際に、1週間に1度ほど、カルシウムパウダーを溶かした水を使用
- 1週間に1度ほど、アメリカミズアブ幼虫を乾燥させた「バグプレミアム」を副食として給餌
上記方法で3年ほどカナヘビへエサを与えていますが、クル病を発症した個体はいません。
目安としてもらえると幸いです。
カナヘビを捕獲する場所にも注意
カナヘビを飼育している方のほとんどは、野生のカナヘビを捕まえてかっていると思います。実は、捕獲した場所によっても、カナヘビのクル病のなりやすさが影響するのです。具体的には、農薬や除草剤が使用された場所で捕獲したカナヘビは、クル病もふくめ病気のリスクが高いといえるでしょう。
野生のカナヘビは、虫や蜘蛛を捕食しています。
これらの化学品が付着した草を食べた昆虫をカナヘビが食べると、カナヘビの体内に毒素が蓄積し、クル病などの病気を発症させてしまうのです。
クル病対策を入念におこなっていたとしても、カナヘビがクル病になってしまう可能性は0ではありません。万が一、クル病が発症してしまった場合は、本記事で紹介した予防策を参考に、進行を抑えることを意識しましょう。
- クル病の原因を理解し対策を怠らない
- 万が一クル病になってしまったときに早期発見できるよう、毎日の観察を欠かさない
クル病の症状がみられた場合、爬虫類やエキゾチックアニマルを診察してくれる動物病院で治療をしてあげてください。
また、近所で爬虫類を診察してくれる動物病院の目途をつけておくことも忘れてはなりません。
まとめ
本記事のまとめです。
- クル病は、骨が軟化・変形してしまう疾患で、一度発症してしまうと完治は難しく、症状が進行してしまうと死に至ることもある恐ろしい病気
- 飼育下のカナヘビがクル病になる原因は主に4つ
- エサにカルシウムが不足している
- カルシウムの吸収ができていない
- カルシウムの消費量が多い
- リンがカルシウムの吸収が阻害されている
- クル病予防としては、カルシウムパウダーの添加やUV-Bを含む紫外線ライトの照射、リンを多く含むエサを控えるなどの対策が有効
- 万が一、クル病になってしまったときに早期発見できるよう、毎日の観察を欠かさず、いざという時には診察してくれる動物病院の目途をつけておく
クル病は、知識がないままカナヘビを飼育してしまうと、発症してしまう可能性が病気です。
本記事にてまとめた情報は、カナヘビの終生飼育にむけて、飼育者全員に必ず学び実行いただきたい内容です。
今一度、ご自身の飼育環境と照らし合わせていただき、必要な飼育用品を整えていきましょう。
本記事が参考になったら
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参考文献および参考著書
- 石橋徹 (いのかしら公園動物病院)2007年『爬虫類の栄養学』https://www.jstage.jst.go.jp/article/iuws/13/0/13_13/_pdf/-char/ja
コメント
コメント一覧 (9件)
いつも拝見させていただいています。カナヘビについてのたくさんの情報を提供してくださりとても感謝しています。
今回、コメントさせていただいたのは、カナヘビの病気についてお伺いしたいからです。
メス2匹、オス2匹を飼育していました。2週間前に、メス1匹が、口を開けて目を閉じることが多くなり、餌も水も飲まず、しばらくして亡くなりました。口を開けさせて食べさせようとしても飲み込んでくれません。色も血色が悪くなっており、どうしたらよいのか分からない状態です。
湿度40、温度30度を維持しています。
マイクロンUVとマイクロサンも併用しています。
どうしたら回復させられるか教えていただきたいです。
今、2匹目のメスも同じ状態です。カナヘビを助けたいです。もし、知っている情報がありましたら、教えてください。
くる病の情報は、ネットで紹介されていることが多いです。口を開け目を閉じて、食べ物を拒絶しているのは、くる病とは違うと思います。
小高様
コメントありがとうございます。
まずはカナヘビちゃんが星になられたこと、ご冥福をお祈りします。
他の子達は後を合わせないために…と思いますが、確かにクル病でよく聞く症状では無いですね。
ちなみに最近、普段と違うお世話をしたりしましたか?
私は過去、育ってケージにおさまらなくなった観葉植物をカットして、その後数日で4匹のカナヘビが星になりました。
確信には至っていませんが、観葉植物の切れ目からカナヘビには有害な臭いが発生したことによる中毒死では無いかと推察しています。
普段と違うお世話について、少しでも思い当たることがあれば教えてください。
ご返信くださりありがとうございます。
1匹目のメスAが亡くなった時は、オスAに噛まれ続け、ストレスと恐怖で衰弱していきました。最初は交尾していると思い(無精卵を3個生みました)、そのままにしていたのですが、オスAが執拗に噛み付き、オスBまで噛みつき、いじめのように見えました。直ぐにメスAを別のケースに移しましたが、目を閉じて口を少し開けたまま、拒食しました。
今回、メスBは、メスAが亡くなってからオスAに噛まれるようになったので、オスAだけ別のケースに移しています。最近は、水をかけて飲ませようとしても逃げなくなりじっとしています。強制給餌しようとしてもなかなか飲み込まず、舌で吐き出してしまいます。何とか救ってあげたいです。
小高様
ご返信ありがとうございます。
ご状況、よくわかりました。
経緯から、ストレス性の拒食という線が濃厚ですね。。。
多頭飼育によるトラブルはたまに聞く話で、私も経験あります。
少食の子が兄弟みんなからいじめられて、隔離したものの数週間後に亡くなりました。
その子は、拒食はしておらず、口も開けてなかったので、全く同じ事例とは言えないですね。
拒食対策として、一時的にハニーワームを与えてみてはいかがでしょうか?
思考性が高く、水分も多いので応急処置として良いかもしれません…。
ありがとうございます。
メスBは、人間の気配を感じると決して餌を食べないので、食事の様子を十分に把握できていないのも反省しています。メスBだけを個別のケースに入れて、コオロギやレオパブレンドを与えたのですが、食べませんでした。
しばらくは、メスBだけを隔離して様子を見てみます。ネットで、爪楊枝で口を開けて餌を入れてあげる給餌の方法を知り、試してみたのですが上手くいかず、焦っています。カルシウム粉を水に溶いて、スポイトで給水してみます。
カナヘビのトラブルや病気への対処方など、現状に合う情報が得られず焦ってしまい、こちらに思わずコメントしてしまいました。
ブログやTwitter、YouTube等、参考にさせていただいています。
ありがとうございます。
小高様
コメントありがとうございます。
ご相談いただいているメスカナヘビちゃんは、人がいる前ではエサをたべないほど警戒心が強いうえ、
オスカナヘビからの攻撃で拒食に陥ってしまったのですね・・・。
食べないことは心配ですが、ただでさえストレス満載な状態とお見受けします。
強制給餌は、さらに人間への恐怖心やストレスを増やすことになってしまいます。
個人的には、別居させたうえで、嗜好性の高いといわれているエサ(ハニーワームなど)を
置き餌として与えてみることが良いと思いました。
無事、回復されることを祈っております。
ありがとうございます。
飲み込む力がありません。
昨日、レオパゲルを3ミリ程に小さくカットしたものを強制給餌しましたが、吐き戻すかのように口を何度も開けて苦しそうでした。
今日は、カルシウムパウダーとレオパブレンドを水で溶いたものをスポイトで飲ませると5滴程、舌で飲んでいました。
今も、ずっと目を閉じて、時々、口をパクパクさせています。
もう、回復は厳しいかもしれませんが、紫外線とカルシウムわ可能な限り摂取させます。
ありがとうございました。
そうなのですね。カナヘビちゃんも小高さんもお辛いですね。
お力になれず、申し訳ありません。