カナヘビってどんな生き物?トカゲとの違いは?
本記事では、このような疑問に答えます。
カナヘビは、家の庭や公園、雑木林など、私たちが暮らす身近な場所に生息している生き物です。
カナヘビをみて「トカゲ」と表現する人も多いですよね。似たような見た目をしているカナヘビとトカゲ、実は体の特徴や生態が大きく異なるのです。
本記事では、身近な生物にもかかわらず意外に知らない、カナヘビの特徴や生態を解説します。
この記事をきっかけに、読者の皆さんにカナヘビについて興味を持ってもらえると嬉しいです。
- どんな生き物?「カナヘビ」の生態 から読む
- カナヘビの体の特徴 から読む
- カナヘビは飼育できるが難易度は高い から読む
- カナヘビとトカゲの違いは?体の特徴や生態別に解説 から読む
カナパパってこんな人
それでは、本題に入っていきましょう。
どんな生き物?「カナヘビ」の生態
日本の固有種で代表的な「ニホンカナヘビ」。北海道、本州、四国、九州など幅広く分布しています。私の住んでる埼玉県では、家の庭、近所の草むらや雑木林、川辺、コンクリートの隙間など、様々な場所で見かけますね。
カナヘビが生息している場所には、カナヘビの餌となる昆虫や蜘蛛なども多く生息しています。気温が低い時期は、エサを捕食することができないため、地中に潜り越冬しているのです。
カナヘビは昼行性で、太陽光を浴びることで体温を調整します。夏場はカナヘビにとって暑すぎる気候のため、朝方や夕方の涼しい時間帯に姿を現すことが多いです。
寿命は約7年 その真意は?
カナヘビの寿命は、野生下では約7年と言われています。飼育下における寿命は不明ですが、近所で簡単に捕まえられる生き物であること、飼育方法が確立されていないことなどから、誤った飼い方で長期飼育できないケースが多いです。
我が家で飼育しているカナヘビで一番長寿な個体は、約3年生きています。2020年春に捕まえて(おそらく2019年秋に生まれ冬眠した個体と思われる)から2022年10月時点でも元気です。
縄張り意識はなく同じ場所に住み着く
肉食の生き物にしては珍しく、ニホンカナヘビは縄張り意識はありません。我が家でも多頭飼育していますが、餌の取り合い以外ではケンカしている様子はあまり見かけません。
しかし、まれにいじめられる個体がいたりします。多頭飼育を始める際には注意しつつ、ケガにつながる前に別居させるなどの対策をとりましょう。
空腹でなければ餌のコオロギに踏まえても見向きもせず、非常に微笑ましい絵です。
カナヘビは、住処を転々とすることなく、同じ場所に住み着きます。我が家の庭では、適度な緑と日当たりの良い場所、エサとなる小さな虫などがいることから、2年前に孵化して逃がしたカナヘビベビーの子孫が脈々と育んでいます。
縄張り意識はないカナヘビですが、非常に警戒心が強くても、基本的には人間には懐きません。
カナヘビが住み着く場所には天敵がいない
カナヘビが生息している場所には、天敵となる生き物が存在していない必要があります。カナヘビの天敵となる生き物は、ヘビ、鳥類、イタチ、猫などがあげられます。また、幼体のカナヘビは、カマキリなどの肉食昆虫に捕食されるケースもあります。
生後1年ほど交尾、1か月程で産卵する
カナヘビは、生後1年ほどで成体(大人)になります。成体は春から夏にかけ数回交尾します。
卵は30~40日程で、全長5~6cmの幼体が孵化します。飼育下で孵化したカナヘビベビーは、野生の個体と比較すると、人間に慣れやすいです。
カナヘビの体の特徴
カナヘビの目・視力・まぶた
カナヘビの目
目は、黒眼が大きく大半を占めています。
カナヘビのまぶた
カナヘビが目を閉じる時は、カナヘビは下まぶたが上まぶたにくっついて、境目が山なりになります。
カナヘビの視力
視力について触れられている情報は少ないのですが、うちのカナヘビたちは餌のコオロギを与えると瞬時に飛びつきます。特に、獲物が動いた瞬間に飛びつくことが多いです。嗅覚が優れているためという可能性もありますが、薄暗くなると、ほとんどコオロギに反応しなくなることから、『一定の視力はあり、薄暗くなると見えづらい』ということが説明できます。
カナヘビの鼻・嗅覚
先端に2つの鼻の穴があります。嗅覚については、鼻から匂いを嗅ぐのではなく、舌先に匂いの粒子をつけてそこから獲物の匂いを感じ取っています。
カナヘビの耳・聴覚
中央の丸い部分が耳になります。大人になると、白いライン(色帯)が入ります。聴覚は非常に優れており、人間や天敵の気配がすると、ガサガサとすばやく茂みや物陰に逃げ込みます。
カナヘビの口・歯・舌
カナヘビの舌
カナヘビの舌先はヒトと異なり、二又に分かれています。
カナヘビの歯
口の中には細かい歯がたくさんはえてますが、人間のように消化を助けるために食べ物をすり潰したりする為にあるのではなく、捕まえたエサを逃がさないように引っ掛けたりする役割を担っています。エサは丸呑みし、胃で消化します。
カナヘビを無理やりつかんだりすると、まれに噛みついたりしてくることもありますが、全く痛くありません。
4歳の息子も、噛まれて笑っていました。
足・指
前足・後ろ足ともの細長い指を5本持っており、特に薬指が長いのが特徴です。指には細く鋭い爪がはえており、その爪を引っかけることでブロック塀や木を登れますが、ガラスやプラスチックを登れません。
お腹の色で性別が判断できる?
おなかの側は白っぽく、やや黄色味を帯びます。「メスのお腹は黄色」という俗説もありますが、実際には違います。うちで飼育しているメスはおなかが白です。カナヘビのオス・メスの見分け方は、別記事で解説しています。
3分の2ほどを占める長い尻尾
カナヘビの体の3分の2ほどを占める長い尻尾ですが、危険を感じると自切します。
切れた尾は再生しますが、再生には相当の時間を要します。栄養状態によって個体差もありますが6か月~8か月ほどかかるほか、骨までは再生しません。そのため、尻尾切りは何度もできるわけではなく、一度きりしかできません。
うちのカナヘビの中には、捕獲したときにはすでに尾が切れて再生済みの個体もいます。野生下で尾切りにより九死に一生を得たのでしょう。
糞・尿は一緒に排泄
糞と尿は一緒に排泄します。尿は白いかたまりになっています。臭いは弱く、多少放置しても問題ありませんが、衛生上、定期的に掃除してあげましょう。
メンテナンス頻度を下げる工夫として、コケリウムでの飼育も推奨しています。コケリウムでワラジムシと一緒に飼育することで、ワラジムシがカナヘビの糞を分解してくれるなどの相乗効果も期待できます。
カナヘビとトカゲの違いは?体の特徴や生態別に解説
ニホンカナヘビとニホントカゲって、どのような違いがあるの?
見た目は似ている「ニホンカナヘビ」と「ニホントカゲ」。私は両種を飼育していますが、飼ってみるとかなり違いがあることが分かります。
ニホントカゲの飼い方を知りたい方は、下記記事で詳細をまとめています。
1つずつ、解説していきましょう。
表面のうろこ・体の太さ・尻尾の長さで見分けよう
ニホンカナヘビとニホントカゲを見分けるには、表面のうろこで判断することが一番わかりやすいです。ニホンカナヘビの体の表面は、カサカサ、ザラザラとしたうろこで覆われています。一方、ニホントカゲのうろこはテカテカしていて、金属のうな光沢があります。
また、尻尾の長さで見分けるのも良いでしょう。ニホンカナヘビは、全長の3分の2は尻尾でシャープな体つきです。一方、ニホントカゲは体の半分が尻尾で、ずんぐりむっくりした体つきが特徴です。
- 成体の全長は15cm~25cmほど
- 体の表面はカサカサ
- 全長のうち3分の2ほどを占める長い尻尾が特徴
- 体は細長くシャープ
成長と共に色や模様が変化する
ニホンカナヘビもニホントカゲも、成長により体の色・模様が変化します。
ニホンカナヘビの幼体は茶褐色の単色です。成体へ成長するとともに横ラインの模様が出てきたり、お腹が白や黄色っぽい色が付いてきます。いっぽう、ニホントカゲの幼体は、尻尾が青く光り、非常に魅力的なビジュアルをしています。
全身が茶褐色の単色、体の表面はまだカサカサしていない
同じ昼行性だけど過ごし方も違う
ニホンカナヘビ、ニホントカゲいずれも、昼行性(昼間に活動する)の生き物です。しかし、日中の過ごし方はかなり違います。両種とも変温動物のため、自ら体温を上げることができません。外気温や太陽の温かさで体を温めて、ハンティングや代謝の促進をします。その違いは、野外に出ている頻度です。
ニホンカナヘビは日光浴が大好きで、起きている時間のほとんどは温かい場所で日光浴して過ごしています。
ニホントカゲも日光浴は好きなのですが、土の中に潜って過ごす時間のほうが多いです。飼育していると、姿を観察できることがほとんどないといっても過言ではありません。
- 起きている時間のほとんどは日光浴して過ごす
- 土の中に潜ることはほぼない(まれに、寝るときだけ床材に潜る個体はいる)
卵の世話の仕方も違う
爬虫類であるニホンカナヘビ、ニホントカゲは、産卵・孵化によりこどもが生まれます。卵の育て方も、2種類は大きく違います。カナヘビをはじめ、爬虫類の多くは卵を産んだっきり放置します。しかし、ニホントカゲのメスは、自身が産卵した卵が孵化するまで守り続けるという性質があります。
産卵後は放置 親カナヘビが卵を守ることはない
カナヘビは飼育できるが難易度は高い
カナヘビ飼育に興味がある人に知っておいてほしいことってありますか?
カナヘビは家庭内で飼育できます。しかし、虫かご1つで簡単に飼育したい、といった安易な気持ちで飼育できる生き物ではないことを意識の上で、飼えるかどうか検討してほしいです。
適切な飼育環境の立ち上げに加え、エサやり・ライト選び・越冬などの基本知識と、飼育コストの出費に関する心構えがなければ、カナヘビの長期飼育は難しいです。
エサは柔らかい昆虫 慣れれば人工エサも可能
カナヘビは完全肉食です。カナヘビのエサは、自分よりも小さく柔らかい、生きた昆虫です。野生のカナヘビは、クモ類、バッタ類、チョウやガの幼虫、ミミズ、ワラジムシなどを捕食して食べています。飼育下でも、生きた昆虫を採取するか、ペットセンター・ネットショップ等で生きエサを購入して与えることが基本です。
「カナヘビよりも小さい虫を採取するのは大変」「生きた昆虫が苦手・・・」という方も多いでしょう。
飼い主の努力とコツをつかむことで、9割の個体は「人工餌」を慣れて食べてくれます。別記事で人工餌の慣れさせ方や、カナヘビにオススメの人工餌をまとめています。
ライトを設置しなければ長期飼育はできない
爬虫類を飼育したことがない方の多くは、
- なんでライトが必要なの?
- ライトってどんな効果があるの?
と疑問に思うことでしょう。
私もカナヘビを飼い始めたばかりのころは、ライトを設置する意味をよく理解していませんでした。
爬虫類用ライトの種類も複数あり、飼育する種類によって必要なライトも異なります。昼行性爬虫類のカナヘビには、日光浴の代わりに体を温めるバスキングライトと、栄養の生成・吸収をサポートするUV-Bライトの2種類が必要です。
「爬虫類用のライトは多すぎて、どれを選べばよいかわからない」という方向けに、ライトの用途や比較を別記事でまとめています。
初心者は冬眠より部屋での越冬がオススメ
野生のカナヘビは、エサも取れず気温も下がる冬の時期は、土の中で冬眠して過ごします。しかし、カナヘビ飼育初心者には、冬眠させずに越冬させることをオススメしています。
理由はシンプルで、室内飼育の場合、自然下にような環境(温度や湿度)を再現することが難しいためです。カナヘビの冬眠を妨げてしまうリスクがあるのです。生き物にとって、『冬眠失敗=死』を意味します。カナへビも同様、飼育下で冬眠失敗してしまうと、待っているのは死です。
私はカナヘビ飼育から2度、冬眠させずに越冬させることに成功しています。ポイントは保温です。昼夜で飼育環境内の温度を急激に変化させないよう、基本温度を20℃以上に保てるようヒーターを設置しつつ、上述したバスキングライトで温度の緩急をつけてあげましょう。
まとめ カナヘビもトカゲも子供たちの身近なヒーロー
本記事では、ニホンカナヘビの特徴と、ニホントカゲの見た目・生態の違いを解説しました。
目を閉じて気持ちよく日光浴するニホンカナヘビ、自分が産んだ卵を孵化まで懸命に守るニホントカゲ、比較してみると共に魅力的な生き物ということを再実感できます。
本記事をきっかけに、カナヘビ飼育に興味をもったかたは、本ブログ内でまとめている飼育環境の立ち上げ方をご覧ください。
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